新規に作成したDNAマイクロアレイで2 種類のヒト刺咬性ダニ,イエダニ(Ornithonyssus bacoti)とミナミツメダニ(Chelacaropsis moorei)を検出できるようにした.イエダニは寄主がネズミ類であるためにヒトへの被害が多く,ミナミツメダニは室内塵性ダニの捕食者で,その大量発生に随伴して増殖し,やはりヒトへの被害報告が多い.
rDNA ITS1およびITS2領域より種特異的配列を選抜し,それを元にプローブを設計した.設計を元に人工合成した一本鎖DNA分子をプローブとしてジーンシリコン® 基板に固定し,DNAマイクロアレイとした.このアレイには以前に報告したコナヒョウヒダニ(Dermatophagoides farinae),ヤケヒョウヒダニ(D. pteronyssinus),ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)のプローブも搭載した.
全5 種のダニ由来ゲノムDNAを鋳型に蛍光標識PCR 産物を調製し,アレイに適用した結果,単独であっても5 種のゲノムDNAを混合しても,個々のダニを検出・識別することが可能であった.
- 所属
- *東洋鋼鈑株式会社 技術研究所
- 著者
- 加瀬谷泰介、青木俊介、平山幸一*
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書,28,1-9(2010)