喘息やアトピー性皮膚炎といったアレルギー性疾患の原因となりうる真菌,ダニを一括して検出,識別するDNAマイクロアレイを試作し,その動作を検証した.対象は以下の真菌6 種:Alternaria alternata,Cladosporium sphaerospermum,Eurotium herbariorum,Candida albicans,Aspergillus restrictus,A.versicolor およびダニ3 種:Dermatophagoides farinae(コナヒョウヒダニ),D. pteronyssinus(ヤケヒョウヒダニ),Tyrophagus putrescentiae(ケナガコナダニ)である.
rDNA ITS1およびITS2領域より種特異的配列を選抜し,それを元にセンス鎖とアンチセンス鎖を含めて,1 種当たり4種のプローブを設計した.設計を元に人工合成した一本鎖DNA分子をプローブとしてジーンシリコン® 基板に固定し,DNAマイクロアレイとした.
標品9種の真菌およびダニ由来ゲノムDNAを鋳型に個別に蛍光標識PCR産物を調製し,アレイに適用した結果,いずれも誤動作することなく対象種のプローブのみが反応し,検出と識別が同時にできた.一般家庭の掃除機ごみ中の微細な塵埃を試料としたところ,1種のダニと複数種の真菌が検出され,その存在を示すことができた.
- 所属
- *東洋鋼鈑株式会社 技術研究所
- 著者
- 加瀬谷泰介、青木俊介、平山幸一
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書,28,11-16(2010)