缶詰瓶詰の褐色化について、注入液として水よりも糖液での褐色化傾向が大きいことから、糖液中の蔗糖が酸分解を受けて単糖類になり、更に「オメガ・オキシ・メチル・フルフロール」に変化し、それが酸化して褐色化現象に関与するのではないかという推論を揚げた。筆者等は果実詰瓶内におけるこのものの存在について定性試験を行い、長期貯蔵のもの並びに高温に貯蔵したものにその反応が顕著であることの知見を得た。注入液の相違による瓶詰果実の褐色化の程度と「オキシ・メチル・フルフロール」の量とについて試験を行い、両者間に相関的関係の存在を知り、瓶詰果実の褐色化に対する糖の分解変化生成体の関与を明らかにした。
- 著者
- 志賀 岩雄
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,1,98-105(1950)
/缶詰時報 第22巻 第11号、