ピースのグリーン色を保持する為に、銅塩を使用する事は古くより知られている。筆者らはポーラログラフ法を用いて、グリンピース缶詰における含有銅量についての研究を行った。
グリンピース缶詰中の含銅量を数多く測定して見ても、含有銅量に大きな差が有りながらクロロフィルの色止の目的は一様に達せられており、40ppm含有のグリンピース製品もあり充分色止の目的が達せられている。故に現在の衛生法規に従って100ppmを超えない範囲で然も最大数に近づけようとの努力はむしろ衛生法規に抵触する危険こそあれ無駄な努力であり、この努力は逆にクロロフィルの安定剤としての銅塩の使用量を最小数値に持って行くようにすれば、それに付随して水洗時間も最小時間となり食品としてのグリンピースの価値がビタミン関係からしても改良されると考える。
- 著者
- 小田 久三
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,62-76(1954)