温州蜜柑缶詰製遥の諸工程中、ヘウ嚢(内果皮)剥皮は、その後に付随して行われる洗浄及び選別の諸操作を含めて最も手数を要し、しかも成績は製品の品質及び生産コストに影響することの多い重要な工程である。ヘウ嚢(内果皮)の剥離は、希薄酸の冷液中に浸漬後、熱アルカリ液にて処理する方法が、現在缶詰工場にて広く採用されている一般方法である。しかしながらこの一般法でも不満足とする所は、ヘウ嚢(内果皮)背部の糸状物の完全除去と、特に腹部中央の完全剥皮に困難を要することである。それ故、工場では長時間の水洗及水晒後の選別作業中に女工の手をかりて、その欠陥補っている。本報告は以上の如き一般法に見られる困難の克服を目指して行った研究の結果である。
- 著者
- 志賀 岩雄
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,1,33-38(1950)
/缶詰時報第297号(1948)