蜜柑缶詰に電気メッキブリキ板を適用する問題に関連してアスコルビン酸の保全性に及ぼす塗料皮膜の影響についての知見を得るため、高温貯蔵上による加速試験を実施し以下の結果を得た。
1.全面塗装缶はアスコルビン酸の保全上不利である。
2.5号缶の蓋底のみ塗装した缶は無地缶に比べ有意差はない。
3.塗装缶と無地缶でアスコルビン酸の含有量に大きな差異を生じるのは貯蔵初期においてである。
4.貯蔵初期におけるアスコルビン酸の減少は缶内封入酸素が大き な作用因子となり、酸素の消費後はFurfuralとCO2とに分解す るAnaerobic becompositionが主体となる。
5.アスコルビン酸の含有量の変化と分光反射率曲線下の面積の変化を以て表わした褐変度とのある程度の関連性が考えられる。
- 著者
- 志賀 岩雄、木村 圭一
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,55-60(1956)