缶詰等食品中の溶出スズ量の定量法に関して、従来より実施している試験溶液の調製法により得た検液について、SATPを用いる比色定量法が缶詰食品中のスズの定量法として適用できるか否かについて検討した。 本法の大きな特徴としてpHの調整が容易であること、およびSATPとスズとのキレート化合物を分散剤等を用いることなく容易にキシレンにより抽出することが可能な点であり、従来の一般的なスズ比色定量法と異なる点である。 検討の結果、本法は操作も簡便で再現性にとみ、通常缶詰食品中に含まれる各種イオンの共存も影響を与えず、その測定値はポーラログラフ法による場合とよく一致した。
- 著者
- 堀尾 嘉友、中世古 真里
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,270-278(1971)