これまでに食品産業廃棄物の有効利用を検討し,容器詰めコーヒー飲料製造工場から排出されるコーヒーかすを主体にした培地でヒラタケを栽培できるようにした.本報では商業規模に拡大するために,1,000袋規模でヒラタケを栽培して問題点を検討した.2回収穫では培地1kg当たり子実体175.4gを得たが,第1収穫だけではおがくず培地による標準的な栽培での収量に達しない.第1収穫が2/3以上を占め,収穫毎に収量は激減した.また第1収穫の多寡にかかわらず第2収穫はほぼ一定で,高収量の達成には第1収穫を高める必要がある.子実体誘導のために行う菌床表面の掻き取り操作の強度は,収量に影響を及ぼさなかった.しかも手作業では効率が悪すぎた.その時点での菌糸の生育状態は収穫量に影響を及ぼし,菌掻き前に子実体原基が形成されると収穫が減少する傾向が見られた.収穫後期では,浸水などによる子実体増収効果はなく,労力・費用に見合う効果は得られなかった.
- 著者
- 加瀬谷 泰介、岡崎 由朗、宮川 キミ枝、山崎 昭子
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,23,29-37,(2000)