9.市販プラスチック容器詰米飯のヘッドスペース揮発性成分

日本では様々なプラスチック容器詰米飯が商業的に製造されている.4種類の市販米飯製品からTenax吸着剤によるヘッドスペース捕集(ダイナミックヘッドスペース法)と熱脱着法を使って,別々に揮発性成分を調製した.ついで各揮発性成分をGC-MSで分析を行った.

全部で65成分が検出された.アルコール類が6成分,アルデヒド類が9成分,ケトン類が7成分,エステル類が2成分,酸類が1成分,炭化水素類が19成分,その他が11成分で,合計55成分が同定された.

4製品の内2製品で,ヘキサナール量が特に多かった.ヘキサナールは主要な異臭成分で,不飽和脂肪酸,特にリノール酸の酸化・分解によって生じる.米を高 温で貯蔵し炊飯するとヘキサナールのような古米臭が生成するものと考えられている.更に35℃保存1ヶ月で,その2製品のヘキサナールやペンタナール量が増加していた.

著者
隅谷 栄伸、中谷 文、末兼 幸子
出典
東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,23,75-81,(2000)