温州ミカンの果皮,砂じょう,缶詰の揮発性成分の変化を調べ,缶詰の香気について検討した.揮発性成分は減圧連続蒸留抽出法で調製,キャピラリーカラムGC-MSで分析した.オーダーユニットの対数が正の値を示したのは,砂じょうではMyrcene(0.3),Limonene(2.2),Linalool(0.8),Hexanal(0.2),(Z)-3-Hexenal(1.7),Nonanal(0.2)で,缶詰では,Limonene(1.3),Linalool(0.7)であった.温州ミカン缶詰の香気に主として寄与する成分は,ミカン様の香りのLimoneneと花・果実様の香りのLinaloolと考えられた.缶詰加工によって,砂じょうの揮発性成分は量的および質的に変化がみられた.ミカン缶詰の保存中における香気劣化は,ミカン果汁缶詰と比較するとほんの僅かであった.
- 著者
- 高橋 英史、隅谷 栄伸、稲田 有美子、森 大蔵、達家 清明
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,23,57-64,(2000)