従来から行なわれているフキ水煮缶詰の製造は、フキに含まれるアク抜きのため長時間水晒しを行なっている。この水晒しは、水質の悪い所では水の中の鉄分とフキのアクが作用して水晒し中に却って色が悪くなったりする場合がある。そこで我々は短時間の稀塩酸浸漬法によりフキ水煮缶詰の製造時間の短縮と品質の改良を目的として実験を行なったので結果を報告する。
1)フキの葉柄部の先端、中間および基部の三部放でポリフェノール含量に大きな差があり、その順は先端>中間>基部である。またフキの色調別ポリフェノール含量は緑色の強いもの(若い葉柄)に多く黄味がかったもの(老化した葉柄)では減少が認められた。
2)72時間の水晒し中の変化としてはポリフェノール含量の減少(約10%位まで)とpHの低下(4.5前後まで)が認められた。
3)稀塩酸処理を行なったものは短時間の処理で72時間水晒しを行ったものと同じ位の効果が得られた。 4)フキタンニンのぺーパークロマトによる同定を行なった。
- 著者
- 澤山 善二郎、下田 吉夫、奥 正和、松本 熊市
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,92-96(1963)