みかん瓢嚢の薬品処理に際して、硬度の高い井戸水を用いると剥皮困難ないし、剥皮不可能になることは以前から知られている。
みかん瓢嚢が薬品処理以前に硬水に浸けられた場合に、剥皮困難になる原因を調べるために、その皮に結着するCa、Mg量を測定することによって簡単に解明出来るのではないかと考え、井戸水と人工的に作った数種の硬水を用いて実験したので、その結果を報告する。
みかん瓢嚢の薬品処理を阻害する因子は、Ca、Mgであり、特にCaの影響が大きいこと、更にCa(Mg)の結着量はHCO3‾の共存で、もしくはpH8付近の弱アルカリ性の溶液中では非常に増加することが認められた。これらの事実は、天然の井戸水中には重炭酸イオンが多く含まれており、しかも重炭酸塩は溶解度が高いということと良く一致する。
- 著者
- 澤山 善二郎、下田 吉夫、林 尚子
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,104-110(1963)