食品中のカルシウムを迅速に、しかも正確に定量する目的で原子吸光分光分析法を検討した結果、十分応用できることを認めた。
1)原子吸光分光分析法によるカルシウムの定量について基礎的な検討を行ない、その測定条件を定めた。
2)共存元素の影響について調べた結果、錫、リン、クローム、アルミニウムがかなり吸光度を減少させたが、マグネシウム溶液(マグネシウム6000ppm、ナトリウム200ppm、カリウム1500ppm含まれた液)を添加することにより、これらの影響を除去できたが、アルミニウムが50ppm以上存在すると影響が残った。
3)添加回収試験を行なったが、ほぼ満足な結果を得た。
4)原子吸光分光分析法とEDTA滴定法との定量値の比較試験を行なったが、ほぼ同値を得た。
5)本法による定量値の再現精度は同一試料液について6回測定した結果、リンゴが2.6%、ナシが1.6%あったので十分満足できると考えられる。
6)農産食品中のカルシウム含量は生の野菜類が20〜30mg%、果実類が3〜10mg%、缶詰ではパインナップルが35mg%、他は3〜15mg%であった。水産食品では二枚貝が25〜70mg%と多く、魚類は10〜20mg%であった。
- 著者
- 森 大蔵、後藤 郁子、長田 博光
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,383-390(1967)