ポロビンスキー反応を用いて、TMAOから定量的に生成するホルムアルデヒドを比色定量することによって、TMAOを直接定量することができる。次のような操作が推奨される。
1.0.5mlのほぼ中性のTMAO溶液(抽出液など)をガラス製の反応管に入れ、これに5mlの無水酢酸を添加して、空冷管(0.5×40cmのガラス管)を付して1時間沸とう水中に保つ。
2.冷却後5mlの水を添加してはげしく混和する。
3.1mlをとって 3mlのクロモトロープ酸試薬を加え、混和して、沸とう水浴中に1時間保つ。
4.生ずる紫色を580mμで比色する。
5.同時に盲験(無水酢酸の代りに水を用いる)を行う。
発色値はTMAO濃度に比例してBeerの法則を満足する。TMAO およびホルムアルデヒドの等モル溶液について本法を実施すると各々ほぼ同値となり、TMAOからのホルムアルデヒドの定量的生成が認められる。発色は少なくとも一昼夜安定である。シュリンプの貯蔵中の変化をDyerの方法と本法とで追跡するとほぼ一致する。トリプタミンを除き、他の生体アミン類の存在は本法を妨害しない。無酢処理をしたもの、しないものについてクロモトロープ酸処理を行うことにより、FA混在試料のTMAO量が算出できる。
- 著者
- 大塚 滋、富永 哲彦、加藤 育代
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,391-394(1967)