無塗装の界面腐食現象を詳しく検討するため封入酸素量、硝酸塩含量およびpHを規制したオレンジドリンク缶詰を製造して実験を行った。
1) 界面腐食は封入酸素量に支配されており、硝酸塩の影響はほとんど認められなかった。また封入酸素量が同一の場合にはpH5よりも3の方が界面腐食の発生は顕著であった。
2) ヘッドスペース中の酸素は製造翌日には45〜90%減少し、8日後には95%以上減少して15日後には消失した。
3) ヘッドスペース中の酸素が消失すると界面腐食の進行はほとんど認められず、スズ溶出量も定常状態を示している。
4) ヘッドスペース中の酸素減少率とスズ溶出量との間には高度の相関関係が認められた。
5) 硝酸塩共存時のスズ溶出現象は、まず缶詰製造時に封された微量の酸素によってスズが溶解され次いで硝酸塩によるスズ溶解の起こることが確認された。
- 著者
- 橋本 一哉
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,1-9(1971)