スズの毒性に関しては、種々報告がみられるが、その多くは塩化スズ、酒石酸スズ、酢酸スズ等のスズ塩を用いたものであり、その他溶出スズ量の多いカボチャ缶詰、アスパラガス缶詰を対象とした実験報告がなされている。
近年しばしば発生した、缶詰食品の溶出スズに基づくとされた一過性の食中毒が、主としてジュース缶詰の摂取によるものであったことから、水溶性スズのみを含む、ジュースモデル缶詰の溶出スズをシロネズミに連続経口投与を行ない、発育におよぼす影響と2、3の臓器中のスズ量の測定を行なったので報告する。
スズ投与群の発育および体重増加度は対照群と比較して差異は認められなかった。スズ投与後の一部のシロネズミの肝臓、腎臓、脾臓、 血液中には著しいスズの蓄積は認められなかった。
- 著者
- 堀尾 嘉友、福楽 緑
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,20-26(1971)