8.各種プラスチック・フィルムに包装されたシラップ漬けミカンの退色について

著者らはプラスチック・フィルムで密封包装された食品類、特に果実蔬菜疏兼などの光による退色、熱による変色などの一連の実験を行なっている。ここではシラップ漬けミカンの光による退色について報告する。

本実験に使用した包装材料のうち、通気性が小さいポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドのフィルムで包装したミカンは明所に保存しても退色が少なかった。これに反してポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリエチレン系であるアイオノマー樹脂(サーリンA)やエチレン-酢酸ビニル共重合体はすべて通気性が大きく、明所保存の包装ミカンの変色は著しい。

すなわちフィルムの通気性と包装ミカンの光による退色とは明らかに関連性があることが判った。カロチンの量は、通気性の大きいフィルムで包装されたミカンが光にさらされたとき、著しく減少する。すなわち光と酸素との相乗積が影響するものと考えられる。

ミカン中のカロチンがミカンに黄色を与えているのであるから、ミカンの退色はおよそカロチンの減少に関連性をもつと考えてよろしいであろう。

著者
松井 悦造、清水 義弘
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,48-53(1971)

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