多くの野菜缶詰は望ましい緑色を失っている.そこで加熱処理後でも緑色が比較的残存する野菜を育成するため,その育種素材を検索する目的で32種類の野菜を供試して,120℃,4分間の加熱処理を行い,熱安定性を調べた.
その結果,多くの野菜の葉は加熱処理中に褐色に変わったが,サツマイモとエンサイの葉のみは加熱処理直後には良好な緑色を保持していた.しかし,その後の室温および3℃の冷蔵庫貯蔵中に褐色変した.-10℃の冷凍貯蔵では,緑色は長期間保持された.
pHの高い野菜は低い野菜に比べて加熱中に緑色が保持される傾向にあった.
条件や加工法を組合わせて検討したいと考えている.
- 著者
- 奥 正和、宮崎 正則、美谷 誠一、 佐藤 宏、後藤 隆子、若狭 勝
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,18,1-7(1990)