4.貝類エキスを用いたスープ缶詰の製造法

カキやアサリのエキス中にはグルタミン酸,グリシン及びコハク酸のような遊離アミノ酸や有機酸が多く含まれているので,栄養的にも味覚的にも良好な缶詰スープの原料になると考えられる.

そこで,これらのエキスを用いて缶詰スープの製造を試みた.また,これらの缶詰スープの貯蔵中における品質の変化についても調べた.

アサリエキスを用いて製造した缶詰スープを37℃あるいは55℃に長時間貯蔵するとフラットサワー様変敗が発生した.この缶詰スープのフラットサワー様変敗を防止するためにショ糖脂肪酸エステルの効果を調べた.

その結果,缶詰アサリスープ中にショ糖脂肪酸エステルを0.05〜0.2%の範囲で添加するとフラットサワー様変敗を防止することができた.

貝類エキスを用いて缶詰スープを製造するための最適処方は:各貝類の濃縮エキスを水で1.3-3%に希釈し,グルタミン酸ナトリウム0.2%,食塩0〜0.4%添加する.なお,アサリエキスを用いる場合はショ糖脂肪酸エステルS-1670を0.2%添加する.各液165gを小型1号缶に詰め,密封後118℃,16分間レトルト中で殺菌する.

著者
長田 博光、竹内 伊公子、朽木 由香子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,18,29-37(1990)