収極後のマッシュルームの品質変化と生理的変化を調べるために,収穫適期のホワイト種子実体を用いて根切りと0.005%NaHSO8または水への浸漬処理を行なった後ストレッチフィルム(軟質塩化ビニールフィルム,15μm厚)包装で5℃,20℃下に貯蔵して外観(菌傘径,菌柄長,L値)の変化,ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性,全フェノール物質・オルトジフェノール含量の変化を調べた。
外観は5℃区の方が20℃区よりL値が維持され白さが保たれたが,各浸漬処理区と対照区の間では差はなかった.PPO活性は20℃区の方が高く,また浸漬処理によって抑制された.全フェノール物質含量はほとんど変化なかった。オルトジフェノール含量は全体的に減少し,PPO活性の高い区で低く,低い区で高い傾向を示した。収穫後の子実体の品質変化の過程とPPOの基質としてオルトジフェノールが使われることが分かった。また、浸漬処理によるPPO活性の抑制と褐変防止の可能性が見出された。
- 著者
- 加瀬谷 泰介、中尾 正慈、中尾 良一、篠木 豊秋、今村 英市、宮川 キミ枝、橋本 一哉
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,18,77-83(1990)