マグロ缶詰の缶内面黒変生成に及ぼすpH,揮発性塩基窒素(VBN),揮発性含硫化合物(VSC),遊離の含硫アミノ酸(FSAA)及び缶並びに塗料の影響について調べた.
エポキシフェノール系塗料及びC-エナメルを塗装したブリキ・はんだ缶(A,B缶),エポキシフェノール系塗料を塗装したブリキ溶接缶(C缶),エポキシフェノール系塗料を塗装したティンフリースチールのDR缶(D缶)及び接着缶(E缶)を用いてマグロ油漬,塩水漬及び味付缶詰を製造し,室温及び37℃恒温に12カ月保存した.
VBNは減圧蒸留法,揮発性含硫化合物はガスクロマトグラフィー,またFSAAはアミノ酸分析計で測定した.
pHが高く,H2S含有量の多いA,B缶の油漬及び塩水漬缶詰には顕著な黒変生成が認められた.
C缶の油漬及び塩水漬缶詰では37℃,12カ月保存後に少し黒変の生成が認められたが,D及びE缶にはいずれも黒変の生成は認められなかった.
黒変の生成度合はpH及びH2S含有量並びに缶種に影響された.しかしVBN,MeSH,Me2S及びFSAA含有量の黒変生成に及ぼす影響は明らかではなかった.
- 著者
- 長田 博光、竹内 伊公子、朽木 由香子
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,18,65-75(1990)