12.Bacillus coagulansの胞子の発芽及び増殖に及ぼすpHと有機酸の影響

Bacillus coagulansの胞子の発芽及び増殖,並びに胞子の耐熱性に対してpHや有機酸がどのように影響するかを検討した.

クエン酸の存在はpHに関係なく胞子の増殖を抑制し,コントロールと比較して胞子数として3から4桁少なくなっている.リンゴ酸,乳酸,酢酸,グルコン酸はpHが低いところでは僅かに増殖を抑制したが,あまり効果は無かった.アジピン酸,フマル酸はpH6.0以下から増殖を抑制した.増殖至適pHは6.0前後であった.

胞子の耐熱性はpH7.0で最も強く,有機酸の影響のうちクエン酸の存在はpHに関係なく胞子の耐熱性を弱めた.しかし,D値はコントロールとそれほど差がないので,初期胞子数がコントロールに比べて3桁以上少ないため耐熱性に差が出たと思われる.

著者
池上 義昭、後藤 隆子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,18,93-98(1990)

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