システインを除く含硫化合物あるいは含硫物質の加熱による硫化水素生成に対するフマル酸の抑制効果について調べた.
フマル酸の添加によりシステアミン,システインメチルエステル,システインエチルエステル,玉葱,大根及び卵白からの硫化水素生成は著しく抑制された.また,メチルスルフィド,メチルメルカプタン及び,グルタチオンからの硫化水素生成もかなり抑制された.
システインと還元糖の混合物の加熱により生成した主なアミノ化合物はシスチンであった.また,システインと臭素酸カリウムあるいは亜硫酸ナトリウムとの加熱により生成したアミノ化合物はシステイン酸とシスチンであった.
システインとクロロ酢酸あるいはホルムアルデヒドとの加熱により生成したアミノ化合物は,それぞれC-S結合を含むS‐(carboxymethyl)-cysteineとThiazolidine-4-carboxylic acidであった.
- 著者
- 長田 博光
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,20,45-53(1994)