茶類飲料缶詰の製造工程全般にわたる加熱履歴をシミュレートし,各工程での緑茶飲料中のカテキン類の変化を調べた.
カテキン類の減少率の最も大きいのは加熱殺菌工程であり,レトルトと熱交換器による同じ殺菌値における比較では,後者による高温短時間殺菌の方が減少率は低かった.しかし,L-アスコルビン酸の添加によりこれらの加熱によるカテキン類の減少をかなり抑制できることが確認された.
また,茶類飲料中のカテキン類は55℃程度の温度でも僅かながら減少するので,容器詰飲料の製造に際しては機能性成分を充分保持するために工程を通じての温度と時間の管理が重要である.
- 著者
- 末松 伸一、久延 義弘、西郷 英昭、松田 良子、原 京子、小松 美博
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,20,75-81(1994)