8.マッシュルームチロシナーゼ反応への温度,酸素濃度の影響

マッシュルームの品質劣化の一つである褐変はチロシナーゼによる酵素的褐変が主因である.低温と低酸素条件によってマッシュルームチロシナーゼ反応がどの程度抑制されるかを調べた.反応温度と酵素反応の関係を調べた結果,45℃で最大活性を示した.低温域でもわずかであるが活性があった:45℃での活性を100%とすると5℃で4.4%,10℃で10.7%であった.酸素に対するミヒャエリス定数(Km)は5、10、25℃で大きな差は無く、およそ2%であった。温度と酸素濃度の反応速度への影響のデータから温度25℃,酸素濃度21%に比較すると,温度5℃,酸素濃度0.1%ではチロシナーゼ反応速度は0.48%となった.実際にマッシュルームスライスへの低温,低酸素濃度の影響を調べた.大気下では5℃でも2〜3日でかなり褐変が見られていたが,5℃酸素2%では、6日後でも褐変はわずかであり,初期に近い外観,かたさを保持していた.

著者
青山 好男、井上 竜一、遠田 智江
出典
東洋食品研究所 研究報告書,28,55-58(2010)

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