イチジク葉は民間療法や漢方薬として利用されてきた.その活性成分としてフェニルプロパノイドに着目し,37品種を対象にポリフェノールやフラノクマリンの組成を調べた.ポリフェノールではカフェリンゴ酸(12.0~26.6 mg/g Dry Weight)が最も多く,続いてルチン(4.7~14.6 mg/g DW),イソシャフトシド(2.5~6.4 mg/g DW)が多く含まれた.フラノクマリンではプソラレン (3.8~23.0 mg/g DW)がほとんどを占めた.さらに,これと同モル量の前駆物質 (プソラル酸グルコシド,PAG)も含まれた.唯一,「グリース・ド・タラスコン」種からはフラノクマリンおよびPAGが検出されなかった.さらにクラスター解析の結果,ポリフェノール含量が高く,かつフラノクマリンが少ない品種として「グリース・ド・セントージャン」など数品種が見出された.これらの品種は機能性食品あるいは薬用品に適していると考えられた.
- 著者
- 高橋 徹, 沖浦 文, 河野雅弘
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 32, 1-6 (2018)