これまでに、非肥満2型糖尿病モデルGoto-Kakizakiラットへのカキ果皮抽出物の投与が,インスリンシグナル伝達経路関連遺伝子の発現変動とインスリン受容体活性化を引き起こすことが分かっている.そこで,肥満2型糖尿病モデルKK-Ayマウスへのカキ果皮抽出物投与効果を調査するために,0.1%抽出物配合食を8週間投与した.抽出物投与により,血漿総ケトン体濃度は減少し,肝臓中遊離パルミチン酸濃度は上昇した.肝臓の遺伝子発現解析から,脂肪酸生合成関連遺伝子亢進と炎症関連遺伝子抑制が見られ,上流因子ではSREBP-1cやPPARγの活性化が予測された.カキ果皮抽出物投与により,KK-Ayマウス肝臓ではSREBP-1cやPPARγを介した脂肪酸生合成亢進と抗炎症が生じることが分かった.
- 著者
- 井土 良一, 石島 智子, 岡田 晋治, 阿部 啓子, 中井 雄治
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 32, 7-13 (2018)