04.カップ詰めコーンのシール漏れと関連する嫌気代謝実証試験

2016年にタイの食品会社がテスト製造したプラスチックカップ詰めスイートコーンの水煮製品においてシール漏れが発生した.その製造工程では原料のコーンを収穫後,種実を切り出し,食塩水とともに容器に窒素置換充填し密封後にレトルト殺菌しているが,原料をブランチング(酵素失活)していない点が日本の製造方法と異なっている.シール漏れ製品は密封後から殺菌処理までの時間が長くなった製品において発生していることから,コーン種実の嫌気呼吸によりエタノールが生成気化したために等圧制御できずシール漏れが生じたと推測された.しかし,それを定量的に評価した事例が少ないことから実証する試験を行った.大容量ヘッドスペースガスGC/MS測定法により,保存中のエタノール量を経時的に計測した結果,原料をブランチングせず,窒素置換し嫌気状態で密封した場合,エタノールが大きく増加することが裏付けられた.

著者
隅谷 栄伸, 高橋 徹
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 32 , 21-24 (2018)

刊行一覧