植物工場における水耕栽培では,栽培コストのほか,植物病原菌による病害発生リスクが高いといった課題がある.一方,土耕栽培では,植物生長促進根圏細菌 (PGPR;Plant Growth Promoting Rhizobacteria)を用いて,植物の生長や植物病原菌による病害を抑制するとともに,栄養成分の同化を促進している.そこで,在来生物の少ない植物工場における水耕栽培ではPGPRによる効果が得やすいと考え、PGPRを利用した水耕栽培技術を検討している.
これまでに土耕栽培のミツバ根圏からPGPRを分離した.本報では,これらのPGPR菌株を'フリルアイスレタス',ルッコラ,ホウレンソウ,クレソン,パクチーおよびスイートバジルに接種し,水耕栽培試験を実施した.いずれの栽培品においてもPGPR接種で生長促進効果が見られ,β-カロテン含量,ビタミンC含量およびORAC値などが増加した.また,菌株によって効果のある栽培品が異なる事が示唆された.
- 著者
- 山本 彩起子,青木 俊介,遠田 昌人
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 32, 69-75 (2018)