γ線や重粒子線 (IB)を照射した変異マッシュルームの成分調査を行った.作製した変異株子実体から高Brix値や高エルゴチオネイン含量を示す菌株を選抜し,それらを拡大栽培して糖およびアミノ酸分析をおこなった.分析法の検討と確立も合わせて実施した.選抜時に高Brix値を示した変異体は,拡大栽培品においてその値を保持することはなく,糖含有量も多くなかったことから,糖以外の可溶性固形分が関与している可能性が示唆された.高エルゴチオネイン含量を示した菌株の拡大栽培品においても高含有量は保持されなかった.キノコ中のアミノ酸は,栽培環境や収穫後の保管状況に大きく影響を受けると推察された.また,変異による形質安定についてはより詳細な検討を要すると考えられる.
- 著者
- 笹井 実佐
- 出典
- 東洋食品研究所 研究報告書, 32, 57-68 (2018)