12.ATS (Ambient Temperature Slide)法のパラメータ決定に関する研究

容器詰食品の加熱殺菌の条件設定の際には,必要な殺菌値を確保しながらも加熱劣化を抑え,さらに製造工程における殺菌時間の位置づけに配慮するような最適化を行う必要がある.加熱殺菌条件の温度および時間の組み合わせである最適な雰囲気温度パターン決定のための条件出しに数値計算を導入することは作業効率向上の一助になる.
向井が2006年に提唱したATS (Ambient Temperature Slide)法は,時分割方式であり,デジタルデータ処理との親和性が高い.データは表計算ソフトとその付属のマクロプログラムで計算され汎用性が高いが,食品会社が開発現場で使用するならば更に使いやすさを向上させる必要があると考え,プログラムを改良することにした.
ATS法のパラメータはδとτの2種類があるが,元のプログラムでは実験値の再現性を最も高くなる遅れ時間δを手動で求める必要があった.本報ではδを自動決定するための基礎データを取得した結果を報告する.δは加熱側と冷却側で独立に求められることが判った.

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