13.ATS (Ambient Temperature Slide)法のパラメータが殺菌値と殺菌時間の計算結果に与える影響

容器詰食品の加熱殺菌条件設定の際には,必要な殺菌値を確保しながらも加熱劣化を抑えつつ殺菌時間に配慮する必要がある.加熱殺菌条件の温度及び時間の組み合わせである雰囲気温度パターンの最適条件決定に数値計算を導入することは作業効率向上の一助になる.
ATS (Ambient Temperature Slide)法のパラメータ遅れ時間δと伝熱係数τは加熱側と冷却側に分かれている.δをどの精度まで求める必要があるか明確な指針はない.δの最適値との差異が殺菌値および計算値に与える影響を検討した結果,殺菌値に対する加熱側δおよび冷却側δの影響は小さく,全工程時間に対しては冷却側のδのみが大きく影響することが示唆された.

著者
稲葉 正一, 藪川 啓司
出典
東洋食品研究所 研究報告書, 32, 87-91 (2018)

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