葉菜類17品目、果菜類7品目、根菜類10品目、加工食品6品目の疏菜類について、呈昧成分としての5′-ヌクレオチド類の分布を調べるために、5′-ヌクレオチターゼおよびイオン交換樹脂カラムクロマトグラフィによって蔬菜類煮出し液中の5′-ヌクレオチドを定量した。
トマト煮出し液については原料600g相当分を処理して数個の画分をとり、同定の結果、その中で5′-AMPと5′-UMPの存在を確認した。蔬菜類全般について総5′-ヌクレオチド量は大部分が原料100g当り1〜10μmol.の範囲で、葉菜・果菜・根菜の区別によって量的に大小があるか否かを調べたが、系統的な差違は認められなかった。同時に測定したグルタミン酸量に較べるとその絶対量は相当に少ない。個々の5′-ヌクレオチドとしては5′-AMPと5′-UMPが普遍的に、5′-CMPは若干の品目に見出されたが5′-IMP、5′-GMPは殆んど認められなかった。トマトでは5′-AMPが最高0.01%に達した。5′-AMPはグルタミン酸共存の下に蔬菜類の風味に大きな影響を持つと考えられる。
- 著者
- 橋田 度、毛利 威徳、志賀 岩雄
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,17-24(1963)