冷凍貯蔵しておいたイチゴを解凍して、赤色透明な液を得、これを低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド-6の6種類のフィルムで作った袋に入れ手で空気を追出しながらヒートシールして、80℃の熱湯中に20分間加熱殺菌した。これらを室内暗所、室内明所およびふ卵器(37℃)内に1カ月間保存したところ、保存温度が高いと赤い色が褐色化するのが速いことを知ったが、さらに詳しく変色の度合を調べるために、次の実験を行なった。
包装密封したイチゴ絞り汁の赤い色は、冷蔵庫内(5℃前後)、室温(10〜25℃)およびふ卵器内(37℃)に保存したところ、保存温度が高いほど褐変が著しく速くなった。すなわちこの褐変は温度に大いに影響される。
室温暗所と室温明所とで保存したものを比較すると、明所保存のものの方が、褐変が少し速かった。すなわち褐変は少しく光にも影繁される。
酸素ガスなどの気体透過性が大なるPEフィルムで密封包装したものと、通気性の少ないPVCフィルムで包装したものとを較べてみても、掲変の速さはほとんど同じか、または極めて僅かにPEで包装したものの方が速かったが、この二つのフィルムの通気性の測定値ほどの大差はどの場合にも見られなかった。
- 著者
- 松井 悦造、清水 義弘
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,61-67(1971)