11.静置殺菌法と回転殺菌法とによる殺菌値の比較-Ⅰ
ある程度粘度をもった食品が缶を満たす場合について

わが国でも近年回転殺菌機を使用して缶詰を殺菌されるようになってきた。回転殺菌が従来の静置殺菌に比べて殺菌時間の短縮および製品の品質において優れていることが知られている。しかし

殺菌時間の比較を検討する場合、同じ殺菌値(F値)で殺菌すると変敗率が異なることが想像される。

そこで同じ変敗率になるようにして、回転殺菌法と静置殺菌法とのF値の比較を理論的に検討した。この場合,回転殺菌は缶詰の内容物が完全に撹拌され、缶内の温度分布が均一であるものとし、静置殺菌では熱の伝達が伝導によるものとした。

缶詰の胞子残存確率とF値の関係について缶詰内を等分化して理論的に追究し、回転殺菌法と静置殺菌法との殺菌値の比較を行なった。

この結果、回転殺菌法と静置殺菌値を同じにするとその胞子残存確率は異なってくる。同じ胞子残存確率にするには回転殺菌値を大きくとる必要がある。

著者
池上 義昭
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,68-73(1971)

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