11.水産缶詰製造における廃液の利用に関する研究-Ⅰ
貝類の成分の煮熟による変化

貝類缶詰製造時に産出する廃液を食品として利用するために、製造工程中の煮熟液へ移行する生貝類の成分量ならびに煮熟によるそれらの油脂の化学的性質の変化を調べた.その結果,生貝の蛋白質の約20%,グリコーゲンの約40%および遊離アミノ酸の大部分か煮汁へ移行する.煮汁中のアミノ酸は特にタウリンが多く,必須アミノ酸もかなり含まれている.カキ,アサリの油脂は煮熟によっても煮汁へはほとんど移動せず,煮熟によるその化学的性質の変化はわずかである.

著者
長田 博光、前淵 絹子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,12,68-74(1976)