Saccharomyces属や Candida属の酵母4種を用いて高圧による死滅を加熱と比較した.高圧死滅曲線はシグモイド型であり,生残数の5桁低下までは直線に近似できた.各圧力での死滅曲線からD値を算出した.ある種の酵母では高い培養温度や培地の種類により耐圧性が増加する場合があったが,統一的な結果ではなかった.各種条件で培養された酵母での実験から得られたD値が1分となる圧力と温度の聞には相関性があり(相関係数;0.853),酵母の耐圧性と耐熱性は相関性が高いことを示している.各圧力でのD値の対数と圧力のプロットは良好な直線を示し,z値が求められた.高圧による死滅のz値は80~100MPaであり,400MPa,10分処理の殺菌効果と同等な各圧力での処理時間を求めることができた.より大きなz値は,低い圧力で殺菌する場合きわめて長時間を要することを示している.
- 著者
- 青山 好男、中西 律子、朝賀 昌志、村井 恵子
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,21,65-68,(1996)