Byssochlamys と同様に酸性食品・飲料の缶詰および瓶詰の変敗原因となる耐熱性カビTalaromyces 1株,Neosartorya 2株の子嚢胞子の耐熱性を測定した.全ての菌株においてByssochlamysと同じく長い遅滞時間をもつ生残曲線が得られた.
Talaromycesは加熱時のpHの影響を全く受けなかったが,Neosartoryaは2株とも低いpHでの耐熱性の減少が観察された.
Neosartorya sp. NE-1では子嚢胞子調製時の培養期間の延長により,対数的な生残曲線から明瞭な遅滞をもつように変化した.このとき耐熱性は増加したが,遅滞の発生と増加が主な要因であり,単純なD 値の増加によるものではなかった.
- 著者
- 遠田 昌人、松井 智江、池上 義昭、中川 薫
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,21,123-128,(1996)