ホウレンソウ葉肉組織から効果的にプロトプラストを単離し,培養する方法を検討した.無菌的に育成したホウレンソウ'次郎丸'の根部を取り除き,葉肉組織を細断した後,酵素液(0.1%ペクトリアーゼY23,0.3%セルラーゼオノズカRSを含むCPW9M)で処理を行うと,損傷を受けて壊れるプロトプラストが多かった.しかし,細断せずに酵素処理を行い,CPW21Sでプロトプラストを精製すると,健全で活性の高いプロトプラストが多数得られた.次に,プロトプラストの培養条件について実験を行った.プロトプラストの分裂率は培地のpHによって差がみられ,分裂が最も旺盛だったのはpHを5.8に調整した培地であった.プロトプラスト収量は供試材料の成育日数が増すと増加したが,分裂率は播種後10-15日で最も高かった.収量と分裂率の結果から,最もプロトプラストの培養に適しているのは播種後10-15日の材料であった.プロトプラストの培養密度が1.0×105protoplasts/mlで最も分裂率が高く,密度が低下すると分裂率が顕著に減少する傾向があった.
- 著者
- 後藤 隆子、奥 正和、高橋 徹、吉本 周
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,23,1-7,(2000)