イチゴの育種における効率的な選抜方法の開発を目的として,イチゴの収量やジャムの品質を予測する方法を検討した.
露地栽培した13品種のイチゴについて,株や果実に関する21の形質,ならびにジャムの品質に関する5つの形質を調査した.調査した形質について相関分析を行った結果,収量は草高,葉数,小葉の長さ-幅比,果実数,糖度および糖酸比と相関があった.さらに,果実数,果重,ジャムの色,ジャムの果実の状態,ジャムの粘度およびジャムの香りについても,株や果実の形質の幾つかと有意な相関があった.
収量,果実数,果重,ジャムの色,ジャムの果実の状態,ジャムの粘度およびジャムの香りを従属変数として重回帰分析(前進法)を行った.収量,果実数,果重,ジャムの色および粘度については決定係数(R2)0.5〜0.77の回帰式が得られた.得られた回帰式を別の14品種・系統のイチゴのデータに適用した.その結果,果実数に関しては予測値と測定値の聞に有意差はなく,かつ高い相関があることが示された.従って露地栽培イチゴの果実数は果皮色の評価点,糖度(Brix %),果実硬度(N)から予測する事が可能と考えられる.
- 著者
- 高橋 徹、宮崎 正則、奥 正和、後藤 隆子、佐藤 宏、吉本 周
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,23,9-19,(2000)