温州ミカン缶詰のフレーバーは,商業的搾汁果汁よりも乏しい.フレーバーの改良を目的として,温州ミカンとバレンシアオレンジのそれぞれの果皮から抽出したコールドプレスオイルを温州ミカン缶詰に添加し実験した.生の砂じょうと缶詰の揮発性成分は,減圧連続蒸留抽出法で抽出しGC-MSで分析した.温州ミカン缶詰の特徴的香気成分はリモネンとリナロールであるが,缶詰化でリモネン,リナロール,ヘキサナールの濃度は減少した.コールドプレスオイル添加缶詰では,それらは対照品より多く残存した.官能評価では,バレンシアオレンジのコールドプレスオイルを添加した温州ミカン缶詰の方が,温州ミカンのそれを添加した缶詰より好まれた.
- 著者
- 高橋 英史、隅谷 栄伸、稲田 有美子、森 大蔵、中野 長久
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,24,115-121,(2002)
/ Applied. Biological Science, 6, 67-73, (2000)