ミルクコーヒー中の成分の何が,凝固物の発生に影響しているのかについて調査した。凝固物の発生の有無は,pH,コーヒー抽出液の濃度,ミルクの含量に強く影響された。しかしながら,タンニン類,カフェイン,砂糖,乳化剤の影響はほとんどなかった。コーヒー濃度が高いほど,ミルクの含量が低いほど凝固物が発生しやすいことが認められた。狭いpHの範囲で凝固物が発生しない領域があったが,飲料での制御は難しいレベルで,実用的ではないと考えられた。凝固物の発生に対し,β-ラクトグロブリンの添加は促進的に,カゼインの添加は抑制的に作用した。缶詰ミルクコーヒー製品において,このカゼインの添加による官能的な影響はほとんどなかった。そのため,カゼインの添加が,凝固物の発生防止に最も効果的であると考えた。
- 著者
- 田辺 利裕、青山 好男、樋口 香織、中西 律子、村井 恵子
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,24,175-185,(2002)