従来法で試作した試料を基準に,分離殺菌法(SSA法)で試作した試料の水色を調べると共に,色・味・香りについて官能評価を実施した.
- 類似した試料間の水色は,色調のL値やb値および430nmの吸光度から求めることはできるが,極端に濃度や組成が異なる試料との比較はできなかった.
- SSA法で製造すると,水色の褐色化が抑制され煎茶飲料本来の水色である鮮やかな黄色を呈し,L-アスコルビン酸の添加量(=炭酸水素ナトリウム量)によって,黄色の水色のみが変化することを認めた.
- SSA法で製造した試料の水色は,黄色が鮮やかなために水色が薄く見え,味・香りも薄いと感じる傾向があるために,水色の薄さで官能評価を低くしたグループと,水色の鮮やかさで評価を高くしたグループに別れた.
- 従来の製造方法では,製品の水色は抽出濃度で決まるが,SSA法で製造すると,抽出濃度と水色を別々に設定できる可能性が示された.
- 著者
- 久延 義弘、中野 和子、末松 伸一
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,24,157-165,(2002)