容器詰めコーヒー飲料製造ラインから排出されたコーヒーかす(SCG)を主原料とした培地と,無菌環境下での種菌の混合接種によって栽培期間を短縮する栽培方法で,エリンギの市販菌株から子実体を形成できた.用いたのはKE-106((株)かつらぎ産業:和歌山県かつらぎ町),KX-EG038((株)キノックス:宮城県仙台市),E-25((株)千曲化成:長野県千曲市)の3種である.KE-106,KX-EG038は約30日,E-25はやや遅れて40日弱で,初回収穫をえた.KE-106,KX-EG038の菌傘は十分に発達したが,E-25では胞子の形成不全により菌傘が発達せず,棒状の子実体となった.以上のことから,SCG培地を用いた混合接種短期栽培法にはKE-106とKX-EG038が適していることがわかった.これらの菌株とSCGを培地として再利用することは、容器詰め飲料製造に伴う廃棄物を削減し、きのこ栽培にかかる費用を低減するのに有用であると考えられる.
- 著者
- 加瀬谷 泰介、岡崎 由朗、宮川 キミ枝、末松 伸一
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,25,25-28,(2004)