PET詰飲料の光による品質劣化を防止し,品質の高い容器詰食品の開発を行うため,数種アントシアニン系色素の耐光性を調査するとともに,色素の退色にアスコルビン酸が及ぼす影響について研究を行った.
原料の異なる市販色素5種類(エルダーベリー由来エルダーベリーT60,アカキャベツ由来アカキャベツFA,エルダーベリーおよびアメリカブドウ混合物のブルーベリーカラーBSY,ムラサキイモ由来ムラサキイモR-K835A,アカダイコン由来レッドカラーTH-DA)を用いてPET詰飲料を製造し,5℃暗所,30℃暗所または30℃明所に保存して品質の変化を調査した.耐光性は色素の種類によって大きく異なった.供試した色素の中では,アカキャベツ色素およびムラサキイモ色素が耐光性の高い色素と認められ,アスコルビン酸を添加することでさらに耐光性が増加することがみとめられた.しかし,アスコルビン酸のこの効果は,光条件の違いによって全く逆に作用し,暗所では退色を促進した.
- 著者
- 後藤 隆子、奥 正和、高橋 徹、森 大蔵
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,25,55-63,(2004)