宮川早生温州みかんとトロビタオレンジの交配種である'清見'果汁の保存に及ぼす多層PETボトル(オキシブロック)の効果を調査した.この容器には酸素吸収材を含むバリヤー層がある.'清見'果汁を多層PETボトルと単層PETボトル、およびガラスビンに熱間充填した.これらの容器詰飲料を4℃、25℃、35℃に1ヶ月間保存し、HPLC法でL-アスコルビン酸を、キャピラリーGC-MS法でヘッドスペース揮発性成分の変化を測定した.
多層PETボトル中のアスコルビン酸の残存量は、単層PETボトルよりも高く、ガラスビンと同等であった.
官能パネルは多層PETボトルと単層PETボトル詰果汁の違いを識別できた.35℃保存PETボトル詰果汁中のフルフラールとα-テルピネオールは徐々に増加した.これらの成分は一般にオレンジフレーバーにとって好ましいものではない.しかし、多層PETボトルにおける、これらの成分のレベルは単層PETよりも更に低かった.
酸素吸収材を含む多層PETボトル(オキシブロック)は単層PETボトルと比較して、柑橘果汁の劣化防止に貢献している.
- 著者
- 隅谷 栄伸、末兼 幸子、中谷 文
- 出典
- 東洋食品工業短期大学・東洋食品研究所研究報告書,25,49-54,(2004)