イチジクの青果および加工品の消費拡大を目的として,果実の品種特性について調査を行った.国内で栽培されている主要品種を含む25品種を用い,果実・果肉の色および硬さや肉質,果重,糖含量について調べた.
果皮色は紫色系,黄緑色系および褐色系がみられ,小果(果実内部,種子)の色はほとんどが紅色系であった.比較的果皮が硬い'プレコスロンデドボルドー'や'ネグローネ','ロンデボーデッケス'などは,傷みにくく,取り扱いが容易であった.一果実の平均重量は品種による差が著しく,小果系の品種としては'シュガー','プレコスロンデドボルドー','ホワイトイスキア'などが,大果系の品種は'ダルマティ','蓬莱柿','桝井ドーフィン'などがあった.イチジク果実にはフルクトースおよび,グルコースが主な糖として含まれており,それらの含量は品種によって差が見られた.しかし,糖組成はいずれの品種もほぼ等しく,大部分がほぼ同率のフルクトースとグルコースで占められており,スクロースの割合は低かった.'ネグロラルゴ','蓬莱柿','プレコスロンデドボルドー'は,フルクトース並びにグルコース含量が高く,全糖含量も高い品種であった.
- 著者
- 後藤 隆子、高橋 徹
- 出典
- 東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,27,9-19(2009)