3.イチジク葉の抗酸化能とその関与成分について

イチジクは古来より栽培されてきた植物で,果実だけでなく葉も漢方薬や民間療法に利用されることがある.しかしイチジク葉の機能性や関与成分については,十分研究されているとはいえない.当所付属農場で栽培している40品種のイチジクについて,葉の抗酸化能とその関与成分について調査した.

新梢の中ほどの成葉を8月中旬〜下旬に採取し,水抽出液を調製して分析試料とした.抗酸化能はESRスピントラップ法により,スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)様活性を測定した.イチジク葉水抽出液のSOD様活性は521〜1182 U/gFWで,40品種間で2.3倍の差があった.国内主要品種である'桝井ドーフィン'の活性は低く,反対に上位11品種は'桝井ドーフィン'の二倍以上の活性を示した.ビタミンCは水抽出液では検出されなかったが,メタリン酸溶液で抽出すると検出され,葉に含まれる事が確認された.一方,総ポリフェノール量はSOD様活性と正の相関がみられた.LC-MS分析の結果,ポリフェノールの一つをルチンと同定した.HPLCピーク画分を採取して調べた結果,ルチン以外にもSOD様活性を示すものがあった.イチジク葉には,抗酸化成分としてビタミンCおよびルチンを含む複数のポリフェノールが含まれる事が分った.

著者
高橋 徹、齋藤 圭太、目代 貴之、河野 雅弘
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,27,21-27(2009)

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