5.β-クリプトキサンチンの利用効率を高めるカキ果皮の乾燥法

カキ果皮にはカロテノイド類の1つであるβ-クリプトキサンチンが多く含まれている.コスト,衛生面から,原料カキ果皮の保管は乾燥状態が好ましいが,乾燥中はβ-クリプトキサンチンが失われると予想される.そこで,乾燥温度を変えて乾燥条件を検討した.その結果,カキ果皮を50℃,80℃,100℃,120℃,150℃で乾燥させる場合,それぞれ187-211分,69-81分,42-53分,26-31分,21-25分の時間が必要であった.カキ果皮中のカロテノイド組成は乾燥温度100℃までは比較的安定であった.さらに,乾燥後におけるカキ果皮中のβ-クリプトキサンチンの歩留まりは,80-100℃の間で高くなった.乾燥時間を短くかつカキ果皮中のβ-クリプトキサンチン含有量を高めるためには,100℃近辺の乾燥が適していた.

著者
井土 良一、高橋 英史、稲田 有美子
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,27,37-40(2009)

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