8.具入り内容物に対する摺動レトルトの適用

大型容器入り食品の静置レトルト殺菌では殺菌時間が著しく長くなる問題がある.この解決手段として,前報で摺動レトルト殺菌法を評価した.しかし,これは固形物(具)が入っていない系での試験結果のみであった.そこで,本報では固形物入り内容物について,摺動レトルトが適用できるかを評価した.

具の煮崩れは,ルウの粘度がシチューやカレー並であれば問題なかった.固形物の熱伝達は,粘液(ルウ)の温度上昇速度に追随し,固形物入りでも摺動殺菌の殺菌時間短縮効果が得られた.固形物入りの場合の容器サイズ,殺菌温度,固形物の厚みをパラメータに,Ballらによる数式法を用いて最適化シミュレーションを行った結果,2kgスタンディングパウチ詰(40mm厚)-125℃殺菌-固形物15mm厚が最適条件の一つであり,この条件で実際に白さの残るホワイトシチューが製造できた.

著者
田辺 利裕、沖浦 文
出典
東洋食品工業短大・東洋食品研究所 研究報告書,27,53-64(2009)

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